令和5年9月 定例議会
自由民主党の松平雄一郎です。令和5年9月の定例議会に当たりまして、自由民主党文京区議会を代表して、質問をさせていただきます。
1.今後の財政運営の見通しと基金について
まず初めに、今後の財政運営の見通しと基金について伺います。
先日、本区における令和6年度予算編成方針が発表となりました。その中で、「コロナ禍を脱した新たな時代において、区民一人ひとりが輝く明るい未来に力強く踏み出すため、すべての世代を支える施策を積極的に展開していかなければならない」と、将来に向けた希望あふれる方針が打ち出されました。その一方で、「ふるさと納税による税流出は拡大傾向」にあり、「不合理な税制改正による影響を踏まえると、区財政の先行きは楽観視できない状況にある」との分析も行っており、今後の確実な財政運営の必要性を改めて感じます。
総務省を中心とする国の考え方は、地方から東京圏への人口集中、経済活動の一極集中の流れは、人口減少社会に突入した今もなお続いており、財源も都市部に集中しすぎているという認識を持っています。そのため、全国一定水準の行政サービスを確保するために、近年、様々な税制改正を行い、特別区を始めとする都市部の財源が国税となり、国が地方交付税の機能を使って、全国の自治体へ財源の再配分を行っている状況が続いています。
地方の深刻な過疎化の状況を鑑みれば当然、理解できる国の方針ではあるものの、特別区や本区において、果たして財源が十分に確保されている状況にあるのか、大きな疑問が残ります。高齢者の増加や、首都直下型地震への備え、そして老朽化が見込まれるインフラの整備など、人口を多く抱える大都市特有の膨大な財政需要を、本区は抱えています。特に物価高騰対策や児童相談所の設置など、今後、取り組むべき課題は山積しており、それらの課題に対応するため、今後も財源をしっかり確保していく事は重要だと考えます。
国の税制改正による、本区の税流出の影響は年々増加をしており、ふるさと納税だけではなく、平成30年度改正の地方消費税の清算基準の見直しや、令和元年度改正の法人住民税の一部国税化による財源の流出の影響も大きく、すべて合算すると、今年度、本区において約100億円の影響額を見込んでおります。令和6年度以降、影響額が増加していく可能性は否定できないと私は感じておりますが、今後の影響額の見通しや、来年度予算を編成するにあたっての影響をどのように考えているのか、区の見解を伺います。
本区は、国からの補填である地方交付税を受けていない自治体でありますから、特別区民税や都区財政調整交付金に含まれる法人住民税が景気悪化等で減少した場合、その影響を直接受けやすい歳入の構造であります。そのため、景気が後退した際の減収や、緊急的な財政の支出には、積み立てている基金の取り崩しや、特別区債の発行など、自ら財源の調整をしていかなくてはなりません。そのため、備えとしての基金に頼る部分が非常に大きく、本区が、いまだ人口増加が続いているから、将来的にみても財源に余裕があるという、考え方を認めることは難しいと感じております。少子高齢化の進展や、景気後退により大きく歳入に影響が出たとしても、老朽化した特別養護老人ホーム、学校、区有施設などの整備ができなくなる、また高齢者や障害者の方々への福祉サービスや子育て教育のサービスの低下を招く事があってはなりません。必要な区民サービスを、今後も安定的に提供するためには、適切に基金への積立を行う必要があると考えます。区の見解を伺います。
近年は、特別区税をはじめとする、一般財源の伸びに支えられ、本区の予算額は増加傾向にありますが、大規模な施設改修等への対応のため、基金の取り崩しが必要となっており、平成25年度以降、基金残高は概ね600億円台で推移しており、横ばいとなっております。また積立額と取崩し額をみると、積立額が大きく上回った令和3年度を除き、平成30年度以降、減少傾向にあります。現在の基金残高は、将来に向けて十分な貯金といえるのか、不安が残ります。大規模な施設改修をはじめとする財政需要が今後も控えている中、令和6年度以降、どのような計画や見通しをもって基金の積立を行っていく方針なのか、そして将来を見据えた適切な基金残高を区としてどのように考えているのか、区の見解を伺います。
基金は、家計でいう貯金と同じで、将来に対する備えであり、決して余分な「貯め込み金」や「埋蔵金」ではありません。そして、現役世代と将来世代とで負担を分担する特別区債も上手に活用しながら、国の税制改正による流出額や、将来の大規模施設改修や災害に備えた、適切な財政運営に努めて頂きたいと思います。今だけではなく、明日の未来の区民のための、持続可能な区民サービスの提供に努めて頂けるようお願いいたします。
成澤区長 答弁
松平議員のご質問にお答えします。
最初に、今後の財政運営の見通しと基金 に関するご質問にお答えします。
まず、国の税制改正による予算編成への 影響などについてのお尋ねですが、
特別区長会は、本年度における国の税制 改正による特別区全体への影響額を約3,100億円と試算しております。
踏まえると、この影響額は今後も増加していくと分析しており、少子高齢化への対応や公共施設整備など、多くの行政課題を抱える本区への影響は、決して看過できるものではないと捉えております。
一方で、来年度の予算編成方針では「文の京」総合戦略に掲げる主要課題の着実な解決に向け、戦略的な事業展開を図るとともに、多額の費用を要する公共施設整備などについても、将来の財政負担を考慮しながら、計画的に実施していくこととしております。
今後とも、国の税制改正の動向や社会経済状況の変化に注視し、これまで以上に各施策を着実に推進する予算を編成してまいります。
次に、基金についてのお尋ねですが、
議員ご指摘のとおり、特別区民税や特別区財政調整交付金などの一般財源は、景気変動の影響を受けやすい歳入構造であるため、しっかりと将来を見据えながら、財源を確保していくことが重要であると認識しております。
そのため、計画的かつ効率的な予算の執行と積極的な歳入の確保に取り組み、それにより生じた財源については、財政調整基金や特定目的基金に積み立て、一定規模の基金残高を確保しているところです。
なお、現時点では、将来を見据えた基金の適切な残高を具体的にお示しすることは困難であると考えております。
しかしながら、次期「文の京」総合戦略の中での財政見通しにおいては、これまでの財政状況を分析するとともに、「文京区公共施設等総合管理計画」で示される将来的な費用見込みとも整合性を図りながら、基金残高や特別区債のあり方について検討し、健全で持続可能な財政運営の取り組みを更に推進してまいります。
2.今後の保育園に対する経営支援について
次に、今後の保育園に対する経営支援について伺います。
積極的な待機児童対策の成果があり、本区においては待機児童ゼロを達成いたました。それに伴い、空き定員による運営事業者の経営悪化が懸念されています。全国的には、保育所の利用児童数は2025年でピークを迎え、それ以降は減少し、保育施設は「淘汰の時代」を迎えると言われています。本区においても、近年4~5歳児の空き定員が目立つようになり、今年度の応募人数も、募集人数を大きく下回る結果となりました。認可保育園の経営を支える収入源は、主に利用者数に応じた保育委託費であり、募集人数の減少は経営に直接的な影響を与えます。実際、他自治体に置いても、急な閉園を決定した私立認可保育園や、都内で複数の施設を運営している事業者が、認証保育園の多くを事業譲渡するという事例も出てきており、本区においても、認証保育園「モニカ茗荷谷」が今年度での閉園を発表したばかりであります。保育園が急に閉園する事態は、在園児や保護者への影響も大きく、何としても避けなければなりません。この流れが今後、さらに本区へ波及してくる可能性は否定できないと考えますが、現状をどのように認識しておりますでしょうか?伺います。
これまで本区では、保育士の人件費の一部補助や、開設後10年以上の事業者に対して、建物の改修や、照明やカーペット等の設備更新の費用助成を行っており、運営支援を目的とした施策として大変評価をしております。しかし、こうした補助を活用した上でも、どうしても厳しい経営状況に陥る施設が出てくる可能性は否定できず、区としてもう一歩踏み込んだ支援体制の準備も大切ではないかと考えます。区として、事前に急な閉園を防ぐための対応はどういった事ができるのでしょうか?また、それでも閉園を迫られた施設に対して、混乱をさけるためのサポートや、事業者に対しての緊急的な支援等、区はどのような支援を行う事ができるのでしょうか?伺います。
今年度から春日臨時保育所において、保育所の利用要件を緩和し、親が就労していなくても子どもを預けることができる、モデル事業がスタートしました。定員に対して約6倍の応募があり、また国においても「こども誰でも通園制度」の創設に向けた動きもあり、この事業のさらなる展開に期待をもっております。定員割れにより経営が悪化している保育園を、この制度の受け皿として活用し、経営改善の一助とする事も十分に考えられると思います。区の見解を伺います。
待機児童問題が解消する一方、都心部での女性の就業率は今後も上昇し続ける事が予想され、保育施設の需要そのものが簡単になくなるとは考えられません。しかし、これまでのように保育施設を作れば、すぐ定員に達する状況とは違い、保護者が保育施設を選ぶ時代がやってきています。そのため保育施設側も、働く保護者のニーズや地域の事情を把握し、他の園との差別化やPR広報の強化など、生き残りをかけた取り組みが必要です。そういった厳しい状況の中で、やむなく閉園を選択せざるを得ない保育事業者がでてきた場合、一番の被害を受けるのは、区民である園児とその保護者です。区民に寄り添った、さらなる保育園に対する経営支援策に期待をしています。
成澤区長 答弁
次に、今後の保育所に対する経営支援に関するご質問にお答えします。
まず、私立認可保育所等の閉園の可能性についてのお尋ねですが、
私立認可保育所については、現時点で、保育事業者から閉園についての具体的な相談は受けておりませんが、今後、在籍園児数の減少が続いた場合は、継続的な運営が困難になる保育所が出る可能性はあると認識しております。
次に、急な閉園を防ぐための対応等についてのお尋ねですが、
区では、私立認可保育所等の指導検査において、保育事業者へのヒアリングや会計書類等により、財務状況を確認し、継続的な運営の把握に努めております。
また、急な閉園は、在籍児童及び保護者への影響が大きいため、私立認可保育所等から閉園の相談があった場合には、在籍児童の保護者全員の同意が得られるまでの間は、運営を継続するよう指導しております。
なお、在籍児童が卒園や転園するまでの間の保育事業者に対する運営支援については、他自治体の状況、国や都の補助制度等について情報収集しながら、研究してまいります。
次に、「(仮称)こども誰でも通園制度」についてのお尋ねですが、
本年度実施している未就園児の定期的な預かりモデル事業においては、多くの家庭から利用希望がありました。
また、定員に空きのある保育所の運営支援としても、実施する保育所に対して運営費が支払われることや、本事業の利用が、入園のきっかけづくりにつながることも考えられるため、一定の効果はあるものと認識しており、今後、区内の保育所等での実施を拡充してまいりたいと考えております。
3.さらなる不登校対策について
次に、さらなる不登校対策について伺います。
教室に行きづらさを感じる児童生徒が増加する中、安心して教育を受けられるための、学校における環境の整備推進は喫緊の課題です。これまで各学校の工夫により、保健室や会議室において、教室以外の居場所の確保に努めてきましたが、毎日の人員や場所の確保などの多くの課題がありました。そうした中、今年度から本区が立ち上げた、指導員を各校に週5日1人配置した「学びの居場所架け橋計画」はこうした課題に的確に対応した施策であり、成果に期待を寄せております。そして現在実施をしているモデル校7校からの課題を確実に検証し、来年度に向けた改善や事業拡大に繋げてほしいと願っております。
児童生徒が教室に入れない要因は様々であり、どこの居場所であれば精神的に安定して、毎日の登校や生活リズムがつくれるかは、児童ごとに異なっており、試してみないと分かりません。そのため、民間のフリースクールも当然選択肢の一つに入ってきますが、家庭の金銭的負担も大きいため、その前段階として、本区としてできる限りの多くの選択肢を用意する取り組みを進める事が重要だと考えます。区の方針を伺います。そして、今回モデル校となった7校以外の学校も、居場所の確保や人員など同様の課題を抱え、学びの居場所の配置を希望している学校は多くあります。令和6年度、早急に希望校全校実施に向けた拡充を行うべきと考えますが、改めて区の見解を伺います。
教室以外の学校内の居場所でも登校が難しい児童生徒にとっては、文京区教育センター内にある、ふれあい教室は、居場所として重要な選択肢の一つです。しかしながら湯島4丁目という地域偏在があり、本区西側の小学校の在籍児童など、毎日の登下校を考えると、居場所の選択肢から外れてしまう実態があり、課題だと感じています。また対象も令和4年度から、小学校4年生から3年生へ拡充をしましたが、学校での支援を中心に対応しているため低学年は受け入れていません。昨年、対象を一学年下げた成果と課題、そして不登校が少なくない小学校低学年まで受入対象を、さらに広げる必要性もあると考えますが、区の見解を伺います。
不登校対策として、本区のどこの公立小中学校に在籍していても、平等に学校内の学びの居場所や、学校外の居場所に通える環境を行政が整え、選択肢を広げる取り組みは重要です。状況によっては、その原因が、発達障害に起因するものであれば、特別支援教室も居場所の選択肢の一つとなりえます。不登校の児童をかかえる家庭は、毎日毎日が不安と戦っています。最終的なゴールは教室への復帰ではなく、子ども達が安心して教育を受けられる場所です。今後のさらなる区の積極的な支援に期待を致します。
加藤教育長 答弁
教育に関するご質問にお答えします。
はじめに、不登校対策の方針についてのお尋ねですが、
不登校の背景は、児童・生徒一人一人によって異なり、多様化していることから、様々な角度からの、個に寄り添った支援が必要と考えております。
そのため、「学びの居場所架け橋計画」として、モデル校7校に指導員を配置するとともにNPOと連携したオンラインシステムによる支援に取り組んでいるところです。
次に、「学びの居場所架け橋計画」の拡充についてのお尋ねですが、
児童・生徒の心情に寄り添った指導員をモデル校7校に配置したことにより、対象児童・生徒の登校日数が増えたほか、学校行事や授業に一部参加できるようになったなどの効果が見られます。そのため、本年度中の対応も含め、指導員の配置校の拡大について検討してまいります。
次に、ふれあい教室についてのお尋ねですが、
令和4年度の小学校3年生児童のふれあい教室への通室は、3名でした。
成果としては、ふれあい教室への通室が始まり、環境に慣れると笑顔が増え、楽しく過ごす姿を見ることができるようになりました。
一方、課題としては、体験・見学した児童が通室までにつながらないことがあげられます。今後は、その理由を分析し、その子にとって適切な居場所につながるよう支援してまいります。
また、小学校2年生、1年生の受け入れについては、児童の成長や特性、周囲との関係等をより丁寧に分析した上で、対応することが求められることから、今後の研究課題とさせていただきます。
なお、教育センターに通うことが難しい地域の児童・生徒についても、スクールソーシャルワーカーや家庭と子供の支援員などを活用することにより、適切な支援につながるよう、努めてまいります。
4.公立中学校の部活動の地域移行について
次に、公立中学校の部活動の地域移行について伺います。
部活動の地域移行は、これまで学校教員が担ってきた指導を、地域団体や民間事業者などが担う事で教職員の負担軽減につなげる事を目的としています。昨年末に国のガイドラインが策定され、公立中学校の休日の部活動については、令和5年度から3年間を改革推進期間として段階的に取り組み、可能な限り早期の実現を目指すとされています。こうした状況を踏まえ、特別区内においても、モデル校による学校単位での検討等、区の事情を考慮しながら移行を進めている自治体もではじめております。現在、教員の約8割は部活動の顧問をしており、平日だけでなく土日の活動も多く、勤務負担が重たいと感じている教職員も多くいます。将来的には、指導のみならず、大会の手続きや引率、保護者対応等を含む、顧問業を含めたすべての業務を地域や民間事業者等へ移行していく方向性も検討すべきと感じています。本区では、部活動指導員の活用や、種目に特化してクラブチームとの連携などの取り組みを行っておりますが、もう一歩踏み込んだ、学校や部活ごとの実態調査の実施など、移行に向けた検討を進めて頂きたいと感じています。本区における地域移行の方針と課題は何か、そして来年度に向けた検討の方向性について伺います。
教員の中には、部活動を児童生徒の人間形成の貴重な場として捉え、引き続き携わりたいと希望する教職員がいるのも事実であり、こういった教員から、指導業務を取り上げる事や、またこれまで学校が築いてきた部活動のレベルや質を下げるような事があってはなりません。多くの課題がありますが、児童生徒にとって、より専門性の高い指導を受ける事ができるなど、様々なメリットを引き出しながら、各学校や部活の個々の状況をしっかり調査した上で、可能な所から丁寧に、移行の検討を進めていって頂きたいと思います。
加藤教育長 答弁
次に、部活動の地域移行についてのお尋ねですが、
現在、専門的な指導の充実と、教員の負担軽減を図るため、各学校に部活動指導員や補助員を配置し、部活動の顧問に代わって技術指導や大会引率等ができる環境を整え、生徒の活動を支援しております。
部活動の地域移行に当たっては、生徒の望ましい成長を保障できるよう、地域のスポーツ・文化資源を活用し、持続可能な環境を整備していく方針です。
課題としては、各学校の教育と関連付けた体制や、部活動ごとの実態に応じた受け皿を整備していくことなどが挙げられます。
今後の方向性につきましては、令和7年度までの改革推進期間の中で、先ずは、学校や部活動ごとの実態調査や、生徒、保護者、教職員へのアンケートを実施してまいります。その上で、区長部局とも連携し、生徒の活動を保障しつつ、教員の負担軽減となるよう、地域移行のモデル事業を実施してまいります。
モデル事業を通じて、具体的な成果と課題を明らかにしながら、本区に相応しい部活動の地域連携・地域移行を進めてまいります。
5.学校施設予約システムの運用状況について
続けて、学校施設予約システムの運用状況について伺います。
昨年8月、新しく「文の京施設予約ねっと」による学校施設使用のインターネット予約申込が始まり、ちょうど1年が経過しました。これまで主に副校長先生が担っていた、体育館や校庭等の予約調整業務を切り離し、システムに組み込む事で教職員の負担軽減と公平性を図る事が目的とされた制度移行であります。長年、学校施設を使用してきた地域のスポーツ団体等を排除する事が目的ではなく、あくまで予約方法が変わる制度変更であり、そのため優先団体制度が設けられ、一般予約より一週間早く予約抽選申し込みができる制度が導入されました。
しかしながら、長年その学校施設を使用してきたスポーツ団体の中には、残念ながら、優先団体の要件を満たす事ができず、これまでと同じ頻度で予約が取れなくなったチームも多くありました。また、新しい団体も利用するようになった事から、一部、用具等の使用マナーの理解が乏しい団体も利用するようになり、新たな学校側の負担が出てきた側面も否定できません。優先団体の数や、システム予約へ開放する日時など、各学校、各地域支援本部によって考え方が様々で、2年ごとの優先団体登録の更新を来年に控えたこのタイミングにおいて、一定の整理が必要ではないかと感じております。制度移行からちょうど一年が経過した現時点において、区はどのように成果と課題を認識しているのか?そして今後どのように各学校側と協議をしていく方針なのか、伺います。
これまで、学校ごとに行われていた予約調整業務は、現在、教育委員会側ですべて行っており、業務負担は大変重いと危惧しております。教職員の負担軽減に一定程度、繋がったと評価をしておりますが、施設の細かい内容など、教育委員会側ですべて判断する事は難しく、学校側への確認やシステム連携作業など、業務がすべて学校から切り離されたとは言い難い状況だと思います。こういった業務は、民間事業者が行う事も難しい話ではなく、将来的には、例えば、先ほどの中学校の部活動の地域移行と絡めて、その対象校の体育館や校庭の使用に関する事も、複合的に民間の事業者等へ移行する事も可能だと考えます。デジタル化を推進する中で、学校施設を予約システムの中に組み込む重要性は、言うまでもありません。過渡期における改善を適宜行い、学校側の負担が確実に軽減され、そして施設を利用する区民の団体が、より便利に利用できる環境整備の推進を引き続きお願いいたします。
加藤教育長 答弁
学校施設の予約システムについてのお尋ねですが、
システムの導入にあたり、想定される利用者からの問合せや、システムの操作方法等をマニュアル化するとともに、学校側と適宜情報共有することにより、全校で統一的な対応がとれる体制が整えられました。そのことにより、公平性を確保した上で、学校の負担を一定程度軽減することが可能となりました。
一方で、優先団体以外の団体が、施設を十分に利用できないといった声もいただいており、今後、各学校等にアンケート調査を行い、意見を聴取した上で、予約方法等の改善に向け、検討を進めてまいります。
6.公共交通不便地域の解消に向けた取り組みについて
次に、今後の公共交通不便地域の解消に向けた取り組みについて伺います。
平成19年にコミュニティバス「Bーぐる」が運行を開始して以来、これまで高齢者をはじめ、多くの区民の生活に密着した交通手段として浸透して参りました。令和3年に第3路線である本郷・湯島エリアの運行が開始された事で、区内の残された主な公共交通不便地域は、大塚・千石・白山地域となりました。B―ぐるの3ルートを合計した収支比率は令和4年度、目標である75%を下回る63.3%であり、公的支援を継続していくためにも、先ずは更なる利用促進に向けた取り組みを充実させていく事が必要です。特に本郷・湯島ルートは朝の利用者をはじめ、乗車人数が伸び悩んでおり、全体の収支比率を引き下げる大きな要因となっています。今後、具体的にどのようにして本郷・湯島ルートの乗車人数増加のためのサービス改善を行い、どのようにして収支比率の改善に向けた取り組みを行っていくのか、改めて伺います。
現状のコミュニティバスの収支改善を行う一方、いまだ区内に残された公共交通不便地域の解消に向けた取り組みは必須であり、路線型としての第4路線の選択肢も残しつつ、デマンド型交通など、あらゆる手段の可能性の検証を行っていく必要があります。特にAIオンデマンド交通については、新たな手段として期待されておりましたが、他区において先行実施した実証実験の結果によると、事業の採算性や継続性、地域の公共交通機関への影響などの理由により本格導入に至っておらず、多くの課題があると認識をしております。本区における、区内の公共交通事業者との意見交換や課題整理の状況はいかがでしょうか?そして今後、残された公共交通不便地域の解消のために、どのような検討を進め、区はどのような対応を行っていくつもりなのか。伺います。
残された大塚・千石・白山地域はすでに都バスや都営地下鉄などが運行しているエリアであります。対象地域の住民にとって、現在どこからどこへの移動に不便が生じているのか、まず実態を把握する事が不可欠です。区の残された公共交通不便地域の解消のための取り組みに期待を致します。
成澤区長 答弁
次に、公共交通不便地域の解消に向けた 取り組み等に関するご質問にお答えします。
まず、B-ぐるの本郷・湯島ルートについてのお尋ねですが、
本ルートは、他のルートと比較して朝の時間帯の利用が少ないことや、シビックセンター周辺での乗降客が少ないことから、その特性に応じた利用者数の増加に向けた研究を進めております。
また、本年度から、収支比率の改善に向けて、利用者数の更なる増加を図るため、花の五大まつりなどの区内のイベントと連携し、B-ぐるの利用促進に向けたPRに取り組んでいるところです。
今後とも、本ルートの認知度を上げ、より多くの方にご利用いただけるよう努めてまいります。
次に、公共交通不便地域の解消に向けた取り組みについてのお尋ねですが、
大塚・千石・白山地区等の公共交通不便地域は、道幅が狭い道路が多く、都営バスと重複する区間も多くなるため、新たに交通手段を導入する場合には、地域の特性や既存の公共交通事業者の意見を十分に把握することに加え、採算性や継続性も視野に入れた、慎重な議論が必要となります。
現在、コミュニティバス運行事業者や区内交通事業者と様々な公共交通サービスについて情報交換を行い、議論を深めているところです。
今後、これらの事業者との情報交換を継続するとともに、大塚・千石・白山地区の公共交通不便地域を対象に、多様な公共交通システムの導入について調査を行うことで、様々な可能性を検討してまいります。
7.後楽二丁目南地区と飯田橋駅周辺整備の検討状況について
最後に、後楽二丁目南地区と飯田橋駅周辺整備の検討状況について伺います。
飯田橋駅周辺からの文京区の玄関口である、後楽二丁目地区において、令和3年に改定した整備指針に基づき、まちづくりの議論が進んでいます。諏訪神社を中心とする北・北西地区では、再開発事業を視野にいれたエリアと、個別に建替えを検討するエリアと2つに分け、それぞれにおいてまちづくりの議論が行われています。そして、飯田橋駅近くの南地区においては、老朽化した歩道橋の再整備と合わせた、歩行者空間の整備やバリアフリー、災害時の防災力の強化などを目指し、地区一帯の再開発事業の検討が進んでいます。具体的には、今年4月に策定された飯田橋駅周辺基盤整備方針において、新しいJR駅前広場や歩行者デッキの整備などの方針が示され、また、地元の準備組合において、東京都の条例に基づいた「環境影響評価」の実施に向けた準備が進んでいる所であります。その評価対象となる建築物の事業計画案を見ますと、まだ仮ではありますが、高さ約170m、地上35階地下3階、延床面積は約30万平米など具体的な数字も示されてきており、令和8年度の着工そして令和13年度完成に向けて、いよいよ南地区の再開発事業がスタートする段階に到達したと認識をしております。
この後楽二丁目地区は、飯田橋駅周辺の整備や、千代田区や新宿区と連携したまちづくりを進める事で、文京区南西の玄関口としてのポテンシャルを確実に引き出すことができると考えます。本区として、この後楽二丁目南地区が抱える課題をどのように考え、そしてその課題を、この再開発事業が進むことでどのように解決しようと考えておりますでしょうか?
また、地元の準備組合側で進む環境影響評価の手続きに合わせて、本区として東京都や関係機関との協議をさらに進め、できるだけ速やかに都市計画決定を行う必要があると考えます。今後、区はどのように都市計画の手続きを進めていくのでしょうか?伺います。
そして、歩行者デッキの新設を含む飯田橋駅周辺の整備との連携が特に重要です。これまで東京都が管理していた歩道橋に替わる新しい歩行者デッキ等の整備は今後、費用負担を含め誰が主体となり検討が進んでいくのでしょうか?あわせて伺います。
後楽二丁目南地区は、飯田橋駅周辺の整備としっかり連動した再開発事業を行った結果、飯田橋駅からのアクセスが格段に良くなり、まちに賑わいを創出する事ができると確信しています。そして、残された北・北西地区のまちづくりと連動し、さらに東京ドームシティエリアや文京区役所周辺エリアとも結びつける事で、さらなる賑わいの広がりが生まれます。後楽二丁目地区のまちづくりに対する、本区の引き続きのご尽力を心からお願いを申し上げます。
以上で私の質問を終わります。ご清聴誠にありがとうございました。
成澤区長 答弁
最後に、後楽二丁目南地区と飯田橋駅周辺整備の検討状況に関するご質問にお答えします。
まず、後楽二丁目南地区の課題と解決策についてのお尋ねですが、
令和3年に改定した「後楽二丁目地区まちづくり整備指針」では、地区内の連続した賑わいの創出、飯田橋交差点の歩道橋の機能強化、まとまった広場空間の確保、地震・水害時の避難場所確保などを課題として挙げております。
本再開発事業により、区の南西の玄関口としての立地特性を生かした、活力と賑わいのある、安全で快適な複合市街地の形成に努め、課題解決に取り組んでまいります。
次に、都市計画の手続きについてのお尋ねですが、
地元の再開発準備組合が、計画内容の検討に必要な手続きである環境影響評価を開始する予定であり、区も、再開発事業等の都市計画決定に向け、再開発準備組合や都と協議を進めているところです。
今後、都市計画案がまとまり次第、都市計画法に基づく手続き等を進めてまいります。
次に、歩行者デッキ等の整備についてのお尋ねですが、
都がとりまとめた「飯田橋駅周辺基盤整備方針」では、歩行者デッキをはじめとする基盤整備は、行政、鉄道事業者及び民間の都市開発事業者が適切に連携して取り組むこととしております。
整備主体や費用負担等については、都や関係区、鉄道事業者で構成する「飯田橋駅周辺基盤整備推進会議」において、検討を進めてまいります。