令和6年9月 定例議会
自由民主党の松平雄一郎です。令和6年9月の定例議会に当たりまして、自由民主党文京区議会を代表して、質問をさせていただきます。
1.中小企業の人手不足解消に向けた支援について
まず初めに、「中小企業の人手不足解消に向けた支援について」伺います。
日本の経済は、ようやくコロナ禍の影響から脱し、緩やかな回復基調を取り戻しています。企業収益は過去最高を記録し、また今年の春季労使交渉でも賃上げ率が33年ぶりに5%を超える高い水準となり、全体として好調さを維持しています。しかしながら、賃金の伸びが物価上昇に追いついておらず、私たち個人の消費意欲は高まっていません。また、非製造業や中小企業を中心に人手不足感は高まっており、物価高の影響から経営状況がいまだ厳しい企業も多く、景気が回復したという実感を得る状況には至っていません。今年、内閣府が実施したアンケート調査においても、企業の人手不足感は、コロナ前の5年前と比べて幅広い業種において拡大しており、「採用活動をしても応募が少ない」、「より良い条件の他社へ応募が流れる」、「短期間で退職してしまう」と回答した企業が、コロナ前と比べて大幅に拡大しています。転職市場の活性化も背景に、人材の確保や定着のために、賃上げを含む従業員の待遇改善を行う企業の割合は増えており、企業の人材獲得競争が、厳しさを増しています。
区内の中小企業、個人商店においても、人手不足感は高まっており、中には経営状況の厳しさから賃上げが行えず、慢性的に人手不足が続いている企業は多くあります。人手不足は既存の従業員の労働負担が大きくなる等の弊害もあり、区内企業の経営を支える上でも、引き続き、中小企業が賃上げしやすい環境を、整えていく事が重要だと考えます。本区においては、これまで人手不足に直面する中小企業への対応策として、持続可能性向上支援補助金等の設備投資への支援や、今働いている従業員の能力を上げるため、新たな資格の取得を促す「リスキリング」による人材強化支援等を行ってきました。特に昨年度行った、生産性向上や省エネ設備を対象とした設備投資支援補助金は好評であり、大変評価できる事業であったと思います。また現在、就職氷河期世代や女性をターゲットに行っている「文京区中小企業ダイバーシティ人材採用促進事業」は、区内中小企業の人材確保への取り組み支援として、区内企業と求職者のマッチングを行っており、実績も上がってきている事業と伺っております。
本区はこれまで、区内中小企業に対する様々な支援事業を行ってきましたが、企業の人手不足解消の観点からどのような効果があったと分析しておりますでしょうか?まずは評価と課題について伺います。そして、区内中小企業の人手不足の現状をどのように認識しており、今後どういった支援が必要だと考えているのか、見解を伺います。また、区内企業と求職者のマッチング事業において、就職氷河期世代や女性に加えて、今後、就職活動中の区内大学生や高齢者、外国人等へ支援の対象を広げる視点も重要ではないかと考えますが、どのようか見解をお持ちでしょうか?伺います。
本区は高齢者や外国人の人口が増加傾向にあり、意欲のある高齢者や外国人の方が働きやすく、企業が雇用しやすい環境を整える事は、企業の人手不足感の解消に繋がる糸口なのではないかと考えます。人手不足解消に向けたさらなる区内の中小企業への支援策に期待します。
成澤区長 答弁
松平議員のご質問にお答えします。
最初に、中小企業の人手不足解消に向けた支援についてのご質問にお答えします。
まず、区内中小企業に対する支援策の評価と課題についてのお尋ねですが、令和5年度に実施した「現下の経済変動に対応するための設備投資支援補助事業」等の各種補助金は、企業の生産性の向上を促し、人手不足消に向けた経営基盤強化の一助になったと認識しております。
また、「中小企業ダイバーシティ人材採用促進事業」では、事業参加者52人のうち23人の就労が決定し、企業・求職者ともにアンケートでの評価も高く、一定の成果を上げることができました。
なお、各種人材確保支援事業における課題としては、昨今の売り手市場という雇用情勢により、企業側の採用ニーズが高まっている一方で、求職者側の参加者数が伸び悩んでいることが挙げられます。
次に、区内中小企業の人手不足の状況と今後の支援についてのお尋ねですが、中小企業の人手不足は、景気の持ち直しとともに深刻な課題となっており、企業の持続的な発展のため、人材の確保が重要であると認識しております。
また、中小企業支援員による訪問相談を通じて、企業が求める人材は多種多様であること、技術系有資格者の採用が困難であること等の状況も把握しているところです。
就業者数の増加も見込めないことから、人材の供給に制約がある現在の状況においては、人材確保の支援に加え、区内中小企業のリスキリングに関する支援を通じた生産性の向上により、賃上げに不可欠となる経営基盤の強化を図ることが重要と認識しております。
次に、中小企業ダイバーシティ人材採用促進事業についてのお尋ねですが、マッチング支援の対象拡充については、人手不足に苦慮する企業の現状や、当該事業における求職者側の参加者数が減少している課題に対して、有効であると考えております。引き続き、企業及び求職者双方のニーズの把握に努め、雇用情勢に応じた支援策を検討してまいります。
2.前期高齢者のさらなる活躍について
次に、「前期高齢者のさらなる活躍について」伺います。
本区の65歳以上の高齢者人口は、現在約44,000人と年々増加をしており、この傾向は今後も続くと推計しております。75歳以上の後期高齢者の要介護・要支援認定者は上昇傾向にある中、介護給付費や医療費の上昇を抑えるためにも、特に、65歳から74歳までの前期高齢者の方が生きがいをもち、健康で元気に生活して頂くための施策に、引き続き注力していく重要性は申し上げるまでもありません。
健康寿命の延びや、国の法改正による65歳までの雇用確保の義務化、70歳までの就業機会確保の努力義務の影響もあり、高齢者の労働参加率は、過去10年間で大きく上昇しています。高齢者の活躍が広がる事は、キャリアの中で蓄積してきた経験や技能、知識が社会に還元されるメリット等、各現場における人手不足の解消にもつながると考えられます。高齢者の「働きたい」という就業意欲を阻害せず、これをしっかり後押ししていく取り組みは、本区においても今後、必要だと感じています。現在、定年退職者等の方々に、文京区シルバー人材センターを通じて、短期的または軽易な仕事をお願いしており、高齢者の方々の生きがいや地域社会の活性化に大きく貢献しておりますが、あくまで「生きがいを得るための就業」を目的としており、一定した収入の保証があるわけではありません。働く意欲のある方々の一部の受け皿になりつつも、完全な受け皿にはなりえていないと感じます。
国の調査によると、日本全体での前期高齢者の労働参加率は、男性51.8%、女性33.1%で世界的にみても高い水準にあります。またコロナ前の5年前と比べ、65歳を超えて働くことを考えている人の割合は増加傾向にあり、男性で2.3%、女性で8.5%それぞれ増加しています。また、就業意欲と実際の就業率の連動性はみられるものの、男女共に就業率が下回っており、特に女性について10~30%と大幅に下回っています。つまりコロナが明け、経済的な理由、健康や生きがい等の理由を背景に、着実に就業意欲は高まっていますが、家事や介護等、家庭内の何らかの理由や、採用する企業側が求める人材とのミスマッチが発生しているため、就業できないといった事情が発生しているのではないかと考えられます。こういった背景から、就業意欲に照らして考えれば、高齢者の就業拡大の余地はまだ残っており、特に前期高齢者の就業支援を後押しする施策は検討の余地があると考えますが、いかがでしょうか?区の見解を伺います。
また、区内中小企業や個人事業主の採用側の視点で見た時に、人手不足の状況とは言え、高齢者は、デジタル環境への適応能力、限定的なキャリア実績、体力や運動能力の面等、雇用にあたってのハードルは依然高いと考えられます。この差をどのように埋められるのかが、大きな課題であり、企業側に寄り添ったマッチング支援が必要だと思います。本区として、企業側に対してどういった採用支援を行うことができるのか?区の見解を伺います。
高齢者の就労を通じた社会参加は、自身の豊かさの向上にも繋がります。人生100年時代を迎えるにあたって、働く意欲のある方が、不安なく働ける環境を整える視点は重要だと思います。採用する側と、働く事を希望する側の両者の視点から見た、採用・就労支援の検討を是非、進めて頂きたいと思います。
成澤区長 答弁
次に、前期高齢者のさらなる活躍支援についてのご質問にお答えします。
将来的に、区の生産年齢人口の減少が見込まれる中、年齢にかかわらず働く意欲のある前期高齢者の就労支援は、中小企業の人材確保にとって有効な手段の一つであると認識しております。
引き続き、ハローワーク等の関係機関と連携し、前期高齢者を含むシニア世代が、自身のキャリアの中で蓄積してきた経験や知識を活かせる就労支援策を検討してまいります。
また、企業への採用支援については、採用する企業と高齢者のニーズの把握に努め、より効果的なマッチング支援策を検討するとともに、セミナー等を通じて、企業に高齢者の特性について理解していただき、採用につなげられるよう、周知啓発に努めてまいります。
3.外国人との共生社会について
次に、「外国人との共生社会について」伺います。
文京区の外国人人口は、令和6年8月現在、過去最多の14,897名となり、総人口に対する割合は6.4%となりました。これは区内人口の約16人に1人の割合であり、国籍の内訳は、半数以上の約54%が中国籍、約11%が韓国籍であります。コロナの影響で一時期落ち込んだものの、コロナ前の5年前と比べると約1.3倍、10年前と比べると約2倍の人口規模となりました。文京区の住環境や、教育環境を求める中国人富裕層の動向が影響していると言われており、新宿区や豊島区と比べ低い水準ではあるものの、決して無視はできない規模だと感じています。
東京都では2016年に「東京都多文化共生推進指針」を策定し、日本人と外国人が共に活躍できる環境の整備を目標の一つとして掲げ、日本語学習支援の充実や、留学生等の外国人への就業支援、地域活動への参加促進等の施策の推奨を例示しています。また本区では、それぞれの担当部署において、生活便利帳などの広報物の多言語化や「やさしい日本語」の対応、区役所窓口での翻訳機の貸し出し、また学校現場での日本語指導協力員の配置等、様々な対応を行って参りました。今後、外国人人口のさらなる増加の可能性のある中、より丁寧な生活情報の提供や、福祉・保健・防災などの面での支援の充実が必要だと感じます。
また、言葉の壁による地域や学校現場でのコミュニケーションの齟齬や、互いの生活文化の違いの理解が進んでいない事で、外国人をめぐるトラブルに発展しかねない状況になってきたように感じます。新しく生活を始める外国人の方々にもしっかりとした住民意識を持って頂くためにも、地域のルールを守って頂く啓発活動を行う事も重要だと思います。外国人との共存共生のための相互理解をより深める事が、これまで以上に求められる中、両者のさらなる意識の醸成が必要と感じますが、多文化共生社会に向けた本区の現状と課題、今後の方針について伺います。
一方で、近年コンビニエンスストアや飲食店等、区内の様々な場所で外国人労働者を見かけるようになりました。これまで政府は、少子高齢化や企業の人手不足を背景に、一定の技術や技能を持つ外国人労働者を受け入れるため、入管法の改正を徐々に行って参りました。2018年には新たに「特定技能」の在留資格が創設され、また、今年6月には「技能実習制度」にかわり、新たに人材育成・確保を目的とした「育成就労制度」を設ける法改正が、国会において可決成立しました。
こうした背景もあり、近年、外国人労働者は増加傾向で推移し、昨年末には過去最高となる全国200万人を超え、東京都内においても飲食や宿泊サービス業を中心に増加しています。文京区内においても、外国人労働者が安心して働き、その能力を十分に発揮するための環境整備を行う事は大切だと感じます。
しかし、外国人労働者を雇用するには、それぞれの在留資格に応じて対応すべき措置は多く、ハローワークへの届け出をはじめ、事業者が遵守すべき法律や、努めるべき雇用管理など、事業者側の負担が大きいのも課題です。また言葉の壁による、社員や顧客とのコミュニケーションの問題、雇用条件の認識の違い、企業が求める知識レベルのギャップ、勤続年数の短さ等、企業側が求める人材とのミスマッチが生じやすいという課題も考えられます。区内の中小企業や個人商店においても、人手不足が喫緊の課題でありながら、外国人労働者の受け入れが、積極的に進んでいる状況ではないと感じています。本区において、外国人労働者の受け入れに関する現状をどのように認識しているのか、伺います。また、区内企業や個人事業主が、外国人労働者を雇用しやすくするための、相談支援、契約書や届出書類の作成補助、日本語教室へ受講補助等、支援の余地はまだまだあると考えますが、こういった施策の展開に関して、本区はどのような見解をお持ちでしょうか?伺います。
在住在勤問わず、言葉や文化の違いが大きい外国人の受け入れにあたっては、地域社会を構成する一員として日本人と外国人が互いに尊重し、責任ある地域の構成員として行動する事を促し、両者のバリアを取り除く取り組みが重要だと感じています。その実現に向けた、本区の今後の積極的な取り組みに期待を寄せています。
成澤区長 答弁
次に、外国人との共生社会に関するご質問にお答えします。
まず、多文化共生社会に向けた現状と課題、今後の方針についてのお尋ねですが、
区では、区の基本構想を貫く理念のひとつである「だれもがいきいきと暮らせるまち」の考えのもと、国際交流事業の実施や窓口対応等での多言語対応の充実、職員へのやさしい日本語研修の実施等、外国人住民との共生に向けた取り組みを進めてまいりました。
一方、議員ご指摘のとおり、昨今、外国人住民が急増していることを受け、文化の違いなどによる住民同士のトラブルに発展5しかねないような苦情や相談も寄せられているところです。
こうした状況を踏まえ、多文化共生庁内連絡会を開催し、地域や学校現場における課題を共有するとともに、関係各課の事業において、必要な対策を速やかに講じていくことを確認したところです。
特定の国の出身者であることなどを理由に、日本社会から追い出そうとするような一方的な内容の言動は、いわゆるヘイトスピーチと捉えられ、こうした行為に及ぶことのないよう、互いの違いを認め、人権を尊重し合う社会を構築していくことを区民の皆様にご理解いただきたいと考えております。
区としては、今後も、外国人との共生社会の実現に向け、外国人住民に対する日本文化の理解促進や住民同士の相互理解を深めていくための啓発や事業を進めてまいります。
次に、外国人労働者の受け入れの状況や今後の施策展開についてのお尋ねですが、
中小企業支援員の訪問相談を通じ、人手不足の中、外国人労働者の採用に活路を見出している企業がある一方、受け入れのハードルが高く、採用に至らない企業もあることを把握しております。
議員ご指摘の外国人労働者の受け入れを促進するための施策については、人手不足解消に向けた選択肢の一つとして、引き続き、区内中小企業のニーズの把握に努めるとともに、他自治体の事例等を研究してまいります。
4.運動ができる場所の積極的な確保について
次に「運動ができる場所の積極的な確保について」伺います。
本区の人口は年々増加をしており、令和20年までこの傾向は続き、さらに3万人弱が増加する見込みです。同時に、体を動かす事が重要な14歳以下の年少人口も、総人口と比例し増加の一途を辿っています。人口の増加は、選ばれる自治体の証拠であり、評価すべき点であるものの、一方で人の過密を生み、様々な弊害を生む場合があります。その一つが、運動やスポーツができる場所や施設が足りなくなるという状況です。
特に本区では、35人学級の対応と生徒数の増加が重なる影響で教室不足となり、現在その対応を行うための改修工事や、特別教室の改修、老朽化に伴う校舎そのもの改築工事を積極的に行っています。そのため、これまで児童生徒や地域のスポーツ団体が、体育の授業や運動できる場所として使用してきた校庭が、使用できなくなるといった状況が発生しています。また区内1校や2校だけではなく、同時並行的に複数の学校施設が使用できなくなるという状況に置かれ、今後の改修改築スケジュールを見る限り、この状況は今後も続くと予想されます。昨今、私の所にも「校庭の利用が制約を受けるため、替わりの場所を探してほしい」という相談が、複数届くようになり、何とか解決したいと感じている課題の一つです。学校施設の改修や改築は、スピード感を持って本区としてしっかり対応していかなくてはならない喫緊の課題ではあるものの、結果として、使用できる学校施設や区有施設に申込が集中し、場所を確保する事が困難になる状況に置かれています。まずはこの現状を区として、どのように認識しているのか?伺います。
球技や体を動かせる場所や施設が足りないという、この供給不足の状況を打破するためには、区内外に、新たな場所を確保するしか解決策はありません。本区の面積は特別区23区の中でも20番目であり、区内の限られた土地において、新たな広い場所や大規模な新しい施設を建設する事は非常に困難であります。しかしながら、区有施設の改築のタイミングや再開発事業において、運動施設を計画の中に盛り込んでいくことは可能であり、湯島総合センター改築において全天候型の運動施設の計画が盛り込まれていることは大変高く評価できます。さらに後楽二丁目地区を始めとする今後の再開発事業において、民間デベロッパーに対し、区側の要望として運動施設を提案していく事も重要かと考えます。今後の区有施設の改築や再開発事業において、一部区民開放が可能な運動施設を要望していく視点も重要かと考えますが、区はどのような見解をお持ちでしょうか、伺います。
また、これまでアプローチをしてこなかった区内の私立・国立・都立の学校施設の所有者に対し、区民開放の検討をお願いする視点も必要ではないでしょうか。都立学校に関しては、区内に竹早高等学校や文京盲学校をはじめ5つの学校があり、すでに地域に開かれた学校づくりを促進するための「都立学校開放事業」が行われております。文京区民もスポーツ利用する事が可能でありますが、利用種目が定められており、既存団体ですでに利用枠は概ね一杯であります。一方、昨年オープンした中央大学小石川キャンパスの体育館をはじめ、国立私立の区内大学施設においては、もちろん学校教育上支障のない前提で、災害時の一時避難場所等の検討も含めた、区民開放のご協力をお願いできる可能性は残っているのではないかと思います。区内にある大学をはじめとする施設所有者に対し、地域開放のアプロ―チを行う事に関して、区はどのような見解をお持ちでしょうか、伺います。
しかしながら、文京区内の限られた面積の中だけでは、新たな場所の開拓には限界があります。今後を見据え、他区や隣接する県まで視野を広げ、区外の場所の確保に向けて、検討を進めていく必要があるのではないかと感じています。本区のように、広い河川敷を持っていない特別区の中でも、区外の場所に区有施設を持っている自治体は多くあります。例えば、豊島区は、板橋区の荒川河川敷に野球場を2面、渋谷区は世田谷区の多摩川河川敷に野球場を5面とテニスコートを5面、千代田区においては、江東区夢の島に野球場を2面、さらに小平市花小金井に野球場2面とフットサルコート2面などであります。この他、港区、新宿区、台東区、目黒区なども区外運動施設を持っており、このほとんどが区民在住・在勤の利用条件や、区が運営する施設予約システムからの申し込みや抽選を行っており、本区の八ケ岳高原学園などの校外施設と同じ位置づけで、直営や指定管理者による運営方法で施設管理が行われています。国土交通省など土地所有者への賃借料、維持管理費等の予算がかかり、様々な課題が想定されますが、昨今の状況を鑑みて、区外運動施設の可能性について改めて、検討進めて頂きたいと思いますが、区はどのような見解をお持ちでしょうか?伺います。
近年、子どもの体力はコロナ禍の影響によって、これまで以上に低下傾向にあります。特に本区は、学力においては、全国や東京都の平均と比較しても、高い水準にありますが、体力の面では本区を含め東京都は全国的には低位にあり、引き続き子どもの体力向上に向けて、学校・家庭・地域が協力し、具体的な取組を行うことは重要です。また、昨今、放課後や休日のスポーツ文化系の習い事やクラブの参加率において、家庭での収入差による「体験格差」の課題が浮き彫りになってきています。
世帯収入に関係なく、誰もが体を動かす事ができる、その環境をしっかり整える事は自治体の責務だと私は考えます。運動ができる場所の確保に向け、本区が大きく動き出す事に期待をしております。
成澤区長 答弁
次に、運動ができる場所の積極的な確保についてのご質問にお答えします。
運動やスポーツに親しむ機会の充実と環境の整備は、区としても課題であると認識しております。
複合施設の改築や再開発事業の際は、区民開放が可能な運動場所の確保に向け、各関係機関と協議・調整するとともに、必要に応じて要望してまいります。
また、区内大学における運動施設の確保については、一部大学と体育館の利用に関する協議を行っているところです。防災面での活用も含め、引き続き、協議を継続してまいります。その他の施設についても、更なる運動施設の確保に向けた協議を進めてまいります。
議員ご提案の区外運動施設の確保については、管理運営方法等を含め、他自治体の取り組みについて情報収集を行ってまいります。
丹羽教育長 答弁
教育に関するご質問にお答えします。
運動場所の確保についてのお尋ねですが、
学校施設の改築等に伴い、校庭の使用が制限されている学校については、学校と協議の上、近隣の区有施設等を活用するなど、体育授業における場所の確保を進めております。
また、活動場所の確保が困難な状況にある団体があることは認識しており、学校及び施工者と相談の上、資材置場等の調整を行い、利用可能な場所や日時をできる限り確保できるよう努めているところです。
5.スポーツ文化芸術の分野で活躍する子ども達への支援について
最後に「スポーツ文化芸術の分野で活躍する子ども達への支援について」伺います。
パリオリンピック・パラリンピックが大盛況の中、終了しました。柔道男子代表の第一中学校卒業のウルフアロン選手や、今回初出場した競泳女子代表の窪町小学校卒業の松本信歩選手など、文京区と所縁のある選手を含む日本代表選手の活躍に、子どもから大人まで、多くの区民の皆さまが心を躍らせた事と思います。特に、スケートボード、スポーツクライミング、ブレイキンなど都心環境の中で行われるアーバンスポーツへの注目は高まり、10代の大変若い選手達の活躍には目を見張るものがありました。
現在、文京区在住・在学の小中高生の中には、学業に全力で取り組みながら、スポーツまたは音楽・ダンス・バレエ・そろばん・書道などの文化芸術活動に力を入れ、日々努力をしている子ども達も数多くいます。その中には、将来、オリンピックを含む世界での活躍を目指す子どもや、国内外ですでに活躍している子どもも少なくありません。実際に私の娘の同級生や知り合いの中には、全国トップクラスの成績を収めている子どもや、海外遠征を行っている子どもの話を時々耳にし、「区内でそんな頑張っている子がいたんだ」と驚く事もあります。
本区においては、これまで区内の文化資源を活用した文化芸術の振興や、読売巨人軍やアルバルク東京、日本サッカー協会等、様々な団体と連携をし、誰もがスポーツに親しむことができるイベントの開催や環境づくりに力を入れ、施策を展開してきた事は、大変高く評価できます。一方で、スポーツ文化芸術の機会を広く増やす施策に留まらず、努力を重ね、世界での舞台等より高みを目指している子どもに対し、育成の観点からその才能を伸ばし、地域社会として応援をしていく視点も大切な事ではないかと感じます。
現在、区内公立中学校の部活動での大会成績は、各学校を通じて教育委員会として把握する事はできますが、国立私立に通う児童生徒や、民間のクラブに所属している等、部活動の枠を超え活動している児童生徒の活躍の情報把握は限定的です。特に民間のクラブや個人教室で活動している場合、学校と切り離して活動している家庭も多く、例え日本トップクラスや、世界レベルでの素晴らしい成績を収めたとしても、それを評価してくれる体制がない、知らないために、保護者が学校や区に伝えないケースも多くあるのではないかと思います。これまで、こういった情報は、体育協会所属の団体や、PTA等の学校・地域団体などから、本区へ情報提供や推薦があった場合において、区長への表敬訪問等が実現する場合が多く、情報が届かなかったがために、その実績結果を区が把握できないまま眠ってきてしまった可能性は否定できません。
もし、そのスポーツや文化芸術活動の結果を提供頂き、自治体や地域で評価し、応援できる体制を整える事ができるならば、子どもや保護者の今後のモチベーションにも繋がりますし、地域社会全体にもポジティブな影響をもたらすと考えられます。もちろん、その成績や結果をどの程度とするか等、一定のルール作りは慎重に行う必要がありますし、各部課を横断した仕組みづくりには様々な課題があります。
しかし、例えば表彰状の授与や区長への表敬訪問、大会結果の周知や、その後の試合の事前告知等を行う、その意義は決して小さなものではないと思います。都心の真ん中である文の京から全国、そして世界の舞台を目指している子ども達を応援する視点、そして支援の体制を整える事に関して、区はどのような見解をお持ちでしょうか?また、地方や海外に遠征試合に行く際の、家庭での金銭的な負担は大きく、将来的に、旅費や宿泊費の補助など行う助成制度や、クラウドファンディングの仕組みを活用した活動資金や競技用具等を提供する支援方法も検討の余地はあると思いますがいかがでしょうか?区の見解を伺います。
人口動態の変化や社会状況の変化により、課題や区民ニーズは刻々と変わってきているように感じています。すべての世代や立場の方々の声に、耳を傾け、それが政策として反映できるよう、これまでの枠組みにとらわれない、全庁的な施策の展開に期待としたいと思います。
以上で私の質問を終わります。ご清聴誠にありがとうございました。
成澤区長 答弁
最後に、スポーツ・文化芸術分野で活躍する子どもたちへの支援についてのご質問にお答えします。
スポーツ・文化芸術の分野において、より高みを目指し努力している子どもたちを地域社会で応援していくことは、区としても大切な視点であると考えております。
区では、優秀な成績を収めた方に対して、一定の基準に基づき表彰し、その功績をたたえております。
一方で、そのような子どもたちについては、情報が把握できていないこともあるため、引き続き、地域のスポーツや文化芸術等の活動に関する情報の把握に努めてまいります。
また、大会参加費用等に関して、一部助成はあるものの、用具提供などに対する支援は行っておりませんが、
議員ご提案の内容については、他自治体での事例を参考にしながら、今後研究してまいります。